名作速読朗読文庫vol.486中井 正一全集1読上機能付き

日本の美学者、評論家、社会運動家である。広島県竹原市出身 中井美学と呼ばれる独自の美学理論を展開。それは極めて広範多様な対象への実践的な視点で知られる

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中井 正一（なかい まさかず、1900年2月14日 - 1952年5月18日）は、日本の美学者、評論家、社会運動家。広島県竹原市出身で尾道市に育つ。

京都学派の流れを汲みつつ、中井美学と呼ばれる独自の美学理論を展開した。その理論は極めて広範多様な対象への実践的な視点で知られる

本文内容見本

生きている空間 ――映画空間論への序曲 中井正一

　ヘーゲルの弁証法が生れる周囲には、その頃の青年ドイツ派ロマン的 皮肉《イロニー》があると考える人々がある。ロマン的皮肉とは、ヘーゲルの友人のゾルゲルで代表されるところの一つの表現、自分達の凡ての行いや言葉のすぐそばに、「黙ってジッと自分を見つめている眼なざし」があると云う一つの不安と怖れである。自分の反省の中にある、限りない圧迫感である。自分の中に、いつでも自分をすべりぬけて、自分を見いる眼があることへの苦悩である。

　この皮肉（イロニー）、不安は、その頃の青年ロマン派の人々の合言葉であり、共通にあったドイツ近代精神の流れでもあった。それをブランデスは次の様にしるしている。

「病的な自己省察よりも、より大いな不幸と苦痛はあるまい。人々はその際、自分を自分より切離し、観客として自分を観察する。而して間もなく、獄裡の囚人が、扉に於ける覗穴から中を覗く看守の眼を見上ぐる時に感ずる様な恐ろしい感情を経験する。かかる場合には自己の眼が他人の眼と同じ様に恐ろしく思われる。われわれは自分自身をあたかも、岸のみが知られていて、その内部はこれからはじめて発見されるべき国がなぞの様に見るのである。――ある晴れやかなる日、哀れなる囚人は、自分の仕事場から覗穴を見上げて、そこから眼が消失せたのを認める。そこで始めて彼は呼吸し得る。生き得る。」

　この不安の凝視は、存在論で云うならば、本質的凝視とでも云う、如何にもドイツ的な、北方的ゲルマン的な、眼なざしを感ぜしめるものがある。

　そして、それは、シェークスピアが、ハムレットを描いて以後、近代人の視覚の中に類型づけられるところの視覚であり、ドイツは、レッシングがそれをドイツに入れてから、ロマン主義的イロニーにまで盛上るのに一五〇年の立後れをした視覚でもある。

代表作品

近代美の研究（三一書房、1947年）

美学入門（河出書房（河出市民文庫）、1951年）

日本の美（宝文館、1952年）

美学的空間－機能と実存と組織の美学（弘文堂、1959年、鈴木正 編）

美と集団の論理（中央公論社、1962年、久野収 編）

中井正一全集、全4巻（美術出版社、1964年-1981年、久野収・中井浩 編）

生きている空間－主体的映画芸術論 （てんびん社、1971年、辻部政太郎 編）

論理とその実践 組織論から図書館像へ（てんびん社、1972年、中井浩 編）

アフォリズム（てんびん社、1973年、富岡益五郎 編）

中井正一評論集（岩波文庫、1995年、長田弘 編）

中井正一エッセンス（こぶし書房、2003年、鈴木正 編）

美学入門（中公文庫、2010年、後藤嘉宏 解説）

名作速読朗読文庫vol.486中井 正一全集1読上機能付きProfessional版

vol 件数 作家名 　　　　 タイトル カテゴリー/文字数/文字量

486 1 中井 正一 新しい神話を追い求めつつ小説 614小

486 2 中井 正一 生きている空間 ―映画空間論への序曲小説 3642中

486 3 中井 正一 うつす 　　　　小説 3210 中

486 4 中井 正一 生まれ変った赤坂離宮 随筆 15121大

486 5 中井 正一 映画と季感 随筆 2876 小

486 6 中井 正一 映画のもつ文法 随筆 2426 小

486 7 中井 正一 絵画の不安 随筆 5651 中

486 8 中井 正一 過剰の意識 随筆 2249 小

486 9 中井 正一 カットの文法 随筆 2185 小

486 10 中井 正一 壁 　　　　随筆 2809 小

486 11 中井 正一 機構への挑戦 ――「場所」から随筆1993小

486 12 中井 正一 巨像を彫るもの 随筆 2073 小

486 13 中井 正一 霧の中のヨードル 随筆 808 小

486 14 中井 正一 芸術の人間学的考察 随筆 7027 大

486 15 中井 正一 言語は生きている 随筆 5391 中

486 16 中井 正一 現代美学の危機と映画理論随筆 6470 大

486 17 中井 正一 国立国会図書館 　　　　随筆 2657 小

486 18 中井 正一 国立国会図書館について 随筆 2416 小

486 19 中井 正一 国会図書館のこのごろ 随筆 2129 小

486 20 中井 正一 国会図書館の窓から 随筆 1980 小

486 21 中井 正一 色彩映画の思い出 随筆 2073 小

486 22 中井 正一 色彩映画のシナリオ 随筆 2311 小

486 23 中井 正一 実践について ――馬になった話――随筆 3515中

486 24 中井 正一 支部図書館三周年に寄せて随筆 1005 小

486 25 中井 正一 集団文化と読書 　　　　随筆 1918 小

486 26 中井 正一 真理を求めて ――平和祭に寄す随筆624小

486 27 中井 正一 スポーツの美的要素　　　随筆 8854 大

486 28 中井 正一 組織としての図書館へ マックリーシュの業績随筆3196中

486 29 中井 正一 大会を終りて 　　　　随筆 1269 小

486 30 中井 正一 大衆の知恵 　　　　随筆 2425 小

合計冊数 30 合計文字数 100917

名作速読朗読文庫とは

名作速読朗読文庫は、読書の喜びを多くの人に知って戴くため　聞いても読んでも楽しめる文庫です

視覚障害者の方もご利用できる音声でも聞こえるシステムが附属しています

速読能力開発ツールも付属し、これを使うと　だれでも本を読むスピードは速くなり、脳が短時間で多くの情報を処理する速読能力がつきます

名作は多くの人生の縮図がはいっており、多くの本を読むことは　一生の財産となります

特徴

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