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中谷 宇吉郎は、日本の物理学者、随筆家である 北海道帝国大学理学部教授、北海道大学理学部教授などを歴任した。
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中谷 宇吉郎(なかや うきちろう、1900年(明治33年)7月4日 - 1962年(昭和37年)4月11日)は、日本の物理学者、随筆家。位階は正三位。勲等は勲一等。学位は理学博士(京都帝国大学・1931年)。
北海道帝国大学理学部教授、北海道大学理学部教授などを歴任した。
自身の研究を含め、科学を一般の人々に分りやすく伝える方法としても随筆をよくした。著書には『冬の華』『立春の卵』など。「雪は天から送られた手紙である」という言葉を残した事も知られる
本文内容見本
5 『西遊記』の夢
中谷宇吉郎
子供の頃読んだ本の中で、一番印象に残っているのは、『西遊記』である。
もう三十年も前の話であり、特に私たちの育った北陸の片田舎には、その頃は子供のための本などというものはなかった。
子供たちは、大人の読み古した講談本などを、親に叱《しか》られながら、こっそり読んでいた。その頃 盛《さかん》に出ていた小波《さざなみ》氏の「世界お伽噺《とぎばなし》」のようなものも滅多に手に入らなかった。
あの一冊十 銭《せん》かの本は、たしか全部で百冊あったはずである。もう何回となく読みかえしたそのうちの一冊の末尾には、百冊の題目がずらりと並んでいた。その題目の一つ一つが少年の心には、あらゆる空想の種であった。これらの百冊の題目は、見開き二 頁《ページ》にぎっしり詰《つま》っていた。その二頁に、私たちは、いつまでもあかず見入っていた。気に入ったお馴染《なじみ》の題目のいくつかは、その紙面からずっと浮き出して見えた。そしてその活字の蔭《かげ》に、古い城だの、碧《あお》い湖だのの姿が揺曳《ようえい》していた。
そういう頃に、私は帝国文庫の『西遊記』を見つけた。私は町の小学校へはいるために、小学一年の時から町へあずけられていた。その家は旧 士族《しぞく》の旧《ふる》い家柄の家であった。そこには帝国文庫だの、それに類した本が十冊近くもあって、それがあこがれの的であった。
背中に金《きん》の文字がはいっているあの厚い本は、中が小さい字で一杯に埋っていて、あれならばいくら読んでもおしまいにはならないように見えた。それに立派な絵も沢山はいっていた。
漸《ようや》く振仮名《ふりがな》を頼りに読めるようになった時に、最初にとっついたのが『西遊記』であった。この頃になって、久しぶりで手にしてみると、劈頭《へきとう》から、南贍部洲《なんせんぶしゅう》とか、傲来《ごうらい》国とかいうようなむつかしい字が一杯出て来る。こういう画《かく》の多い字が一杯並んで、字づらが薄黒く見えるような頁が、何か変化《へんげ》と神秘の国の扉のように、幼い心をそそった。
面白さは無類であった。
代表作品
原子爆弾雑話
高度八十マイル
粉雪
語呂の論理
『西遊記』の夢
サラダの謎
実験室の記憶
島津斉彬公
写真と暮らした三十年
白い月の世界
線香花火
千里眼その他
淡窓先生の教育
寺田先生と銀座
名作速読朗読文庫vol.551中谷 宇吉郎全集2読上機能付きProfessional版
名作VOL 件数 作家 作品名 カテゴリー/文字数/文字量
551 1 中谷 宇吉郎 原子爆弾雑話 随筆 7426 大
551 2 中谷 宇吉郎 高度八十マイル 随筆 3198 中
551 3 中谷 宇吉郎 粉雪 小説 3830 中
551 4 中谷 宇吉郎 語呂の論理 随筆 7042 大
551 5 中谷 宇吉郎 『西遊記』の夢 小説 10270 大
551 6 中谷 宇吉郎 サラダの謎 小説 2826 小
551 7 中谷 宇吉郎 実験室の記憶 随筆 6971 大
551 8 中谷 宇吉郎 指導者としての寺田先生 随筆 4573 中
551 9 中谷 宇吉郎 島津斉彬公 小説 1196 小
551 10 中谷 宇吉郎 「霜柱の研究」について 随筆 4895 中
551 11 中谷 宇吉郎 写真と暮らした三十年 随筆 3855 中
551 12 中谷 宇吉郎 白い月の世界 小説 16931 大
551 13 中谷 宇吉郎 線香の火 小説 1145 小
551 14 中谷 宇吉郎 線香花火 小説 4732 中
551 15 中谷 宇吉郎 千里眼その他 小説 13263 大
551 16 中谷 宇吉郎 淡窓先生の教育 随筆 1210 小
551 17 中谷 宇吉郎 地球の円い話 随筆 5898 中
551 18 中谷 宇吉郎 茶碗の曲線 ――茶道精進の或る友人に―― 随筆 4942 中
551 19 中谷 宇吉郎 「茶碗の湯」のことなど 随筆 5473 中
551 20 中谷 宇吉郎 寺田先生と銀座 随筆 1116 小
合計冊数 20 合計文字数 110792
名作速読朗読文庫とは
名作速読朗読文庫は、読書の喜びを多くの人に知って戴くための 聞いても読んでも楽しめる文庫です
視覚障害者の方もご利用できる音声でも聞こえるシステムが附属しています
速読能力開発ツールも付属し、これを使うと だれでも本を読むスピードは速くなり、脳が短時間で多くの情報を処理する速読能力がつきます
名作は多くの人生の縮図がはいっており、多くの本を読むことは 一生の財産となります
特徴
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